修了生インタビュー
- 橋倉 宏行
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2022年11月現在
株式会社芝浦電子 前会長
高齢者の挑戦
2019年秋、社長退任後の学び直しを考え、放送大学やOWCでの講義を聴いていたが、物足りなかった。大学同期の小川さん(EMP講師)に会って思いを打ち明けた。「東大が社会人向けに講義をやっているから調べてみたら」とEMPを紹介された。資料を取り寄せ説明会に参加した。講師陣や講義内容は申し分ないが、唯一の気掛かりは、私の年齢だった。会場で質問した。「高齢者でも受講できますか?」難波先生の回答は明確だった。「EMPは年齢での差別はしません。」「これで決めた。」と応募書類を取り寄せ、受講動機は、「これからの30年を生きるための哲学を学びたい」とした。
受講を認められたが、コロナ騒ぎが大きくなり「半年延期」が決まった。開講までに「課題図書を送るから読んでおくように」とのことだった。会社は退任するので、時間はあると課題図書を読み始めたが、正直読んだことのないジャンルの本だった。
10月9日にコロナ対策のなされた講義室に集まったのは、29名だった。見ると私の子供と同じ年頃の受講生もいた。どの講義も興味深かったが、内容は聞き慣れない言葉が多かった。そして、「問いを考える」には戸惑った。「勝手が違うな」と思っていると難波先生に声をかけられた。「昼食を一緒にどうですか?」先生とは同年代、「ため口で話そうよ。」うれしかった。学生時代の生活や若いころの苦労話、今後やりたいことが話題になった。
受講生の間で自主講座(経営者座談会)をやろうということになり、基調講演を任されたことも良い思い出である。「考えるために書く」での論文作成には、これまで考えたこともない「雑木林」をテーマとした。近くの雑木林の観察に毎日行き、写真を撮った。小林先生の的確な指導で如何にか纏めることが出来た。最終発表では、異なる経歴の受講生が6名そろい、喧々諤々の議論が始まった。「対話」を続けるうちに「あわい対話」に収斂していく過程はこれまでに無い経験で、多様な人との「対話」が大切と実感した。
私の生活は、重圧を感じる日々から激変したが、EMPでの唯一無二の体験で上手く新しい環境に順応できた。哲学以外の多くのことを学んだだけでなく、新しい交友関係も作れた。EMPでの経験は、これからの生活の中で役立てたいと思っている。私にとってEMPの挑戦は終わりではない、始まりである。これからも唯一無二の自分のために、新しいことにチャレンジし続けたいと願っている。
最後になりますが、EMP倶楽部も修了生同士の交流が深まり、益々発展することを祈っています。