PostEMPスクール第73回「あなたなら訴えますか?~現代社会における司法の役割~」

スピーカー 下野 健(第28期修了生)
内容 「あなたなら訴えますか?~現代社会における司法の役割~」

今回のPost EMP Schoolでは、「現代社会における様々な課題を解決するために、司法はどのような役割を果たすことができるのか」というテーマについて議論すべく、2つの素材を取り上げました。

1つ目は、28 期の宍戸先生のご講義で取り上げられた食べログ裁判です。食べログがチェーン店の評点を下方修正するようなアルゴリズム変更を実施したことにより売上げが減少したとして、飲食店が食べログ運営会社に約6 億4,000万円の損害賠償等を求めました。一審判決は、飲食店の主張を一部認め、食べログ運営会社に3,840万円の支払いを命じたのですが、今年1月19日の控訴審判決は、一審判決を取り消し、食べログ運営会社の逆転勝訴としました。アルゴリズムの透明性や公平性はどこまで・どのようにして確保されるべきなのか、参加者の中に評価サイトを運営している方がいらっしゃったこともあり、活発な意見交換がなされました。そして、AIと司法の関係にも話が及び、「仮に自分が裁判を受ける身になったら、AIによる裁判と人間による裁判、どちらに裁かれたいですか?」と問いかけたところ、驚いたことに(驚くのは私だけでしょうか…)、AI による裁判を希望すると回答した方が過半数を占めました。そもそも人を裁くとはどういうことか、我々は裁判に何を求めているのか、改めて考えさせられますが、いずれにせよ、AIが司法の一端を担う日も遠くはないのかも知れません。

2つ目の素材として、世間の耳目を集めている著名人の名誉棄損事件を取り上げました。個別の事件の内容はさて置き、プライバシー侵害と名誉棄損の相違点(要件や効果)を整理した上で、この種の紛争における司法の役割や限界について議論しました。

他の期の皆様とも交流でき、刺激的で楽しい時間でした。このような機会を頂戴し、有難うございました。


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